ツール・ド・三陸@陸前高田へ
2014年 11月 03日
10月下旬、ネットのバナー広告に目が釘付けになった。
ツールド三陸、エントリー募集中。11/2開催。
えっ?!11/2開催でまだ募集中なの??
調べたら、エントリー締切りを延期したらしい。
第3回 「ツール・ド・三陸 サイクリングチャレンジ 2014 in りくぜんたかた・おおふなと」
http://www.tour-de-sanriku.com/index.html
3.11の震災のあと立ち上がったこのライドイベント。今年で3回目の開催となる。僕自身、震災直後にインターネットを使った被災者支援の活動に少し関わったこともあるが、現地を訪れる機会はなかった。陸前高田出身の女子大生(菅野さん)が撮ったドキュメンタリー「明日を守る」の上映会を開催させていただいたこともある。とてもいい作品だった。知人が理事をやっているグッドチャリズムが主催のこのイベントにも以前から出てみたいと思っていたが、なかなかスケジュールが合わなかった。
思いだったが吉日!というのが信条。ちょうど、同日開催のトライアスロンの最終戦、北川辺のケンズカップへのエントリーを迷い、取りやめた直後でスケジュールもポッカリ空いていた。
エントリー締切りが27日だったので、博多出張の夜にホテルに戻り、締切り5分前にエントリーを済ませた。翌々日の29日には参加賞のはがきが届いた。あとは身支度を整えて出掛けるだけ。
1日(土)に現地入りして、2日(日)にイベントに参加して、その日のうちに帰宅できる。でも、それだと観光に行ったのと大差ない。気持ちが入らない。で、今回考えたのが、埼玉の自宅から自走で現地まで行くこと。片道約500kmを二日間(金・土)掛けて走ろうかと思いついた。ブルベ400kmを徹夜で二回完走したことがあるので2日間に分ければ何とかなるはず?
ところが、結局、木曜日は夜遅くまで自宅で仕事をすることになり、早朝発は断念。天候も怪しくなってきたので、午後から輪行して福島に入り、伊達の健康ランドに泊まることにした。福島(伊達)から陸前高田までは残り220~230kmぐらい。夜明け前に出れば夕方には陸前高田に着いて、ギリギリ前日受付けに間に合う予定。ダメなら途中で輪行すれば良い(ほぼ鉄道沿いに走るルートなので)。
JRの鈍行列車を乗り継いでのんびり一人旅。二日分の用意をトレランバッグに詰め込み、イベント時の着替えなどは宅急便で前日に送っておいた。
鈍行列車を何度か乗り換えて、7時間近く掛けて仙台に到着。ネットで当日割引のお得なビジネスホテルを予約して、遅めにチェックイン。バイクシューズでは遠くまで歩けないのでホテル近くで一杯。仙台のホルモン焼きは安くてボリュームも味も満点。仙台に泊まったのはこれも理由のひとつ。伊達の健康ランドではたいしたものは食べられそうにないから。
海沿いを走るローカル鉄道の駅。こういうのが好き(笑)
石巻から北上川沿いを北上して、山間部を走る。気温は11度。寒いわけだ。津山の辺りで本降りになって身体も冷えて来たので、道の駅でトイレ休憩。木のいい匂いがする空間で身体が暖まる。くるみ餅が美味かった。
ランチを終えて外に出ると雨は小止みになってきた。気仙沼まで30Km、陸前高田まで50Km。北上するにつれ、津波の爪跡の深さが増す感じ。特にこの気仙沼線の橋の残がい。コンクリートと鉄骨の塊を一瞬でもぎ取ってしまった津波の威力を目の当たりにして呆然とした。
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=f62b639ec2a6601db97cda4656546c07
仙台から自走してみてよかった。いろいろと気づいたことがある。新幹線や高速道経由では津波で大きな被害を受けた海岸線の様子はわからない。風景がよく見え、路面の状況が良くわかるのも、車に比べて移動速度が遅く、タイヤの細いデリケートな自転車ならではだと思う。
会場となる中学校の仮設グラウンドで受付を終える。足元は雨でグチャグチャ。粘り気のある泥でシューズのクリートが詰まって嵌らなくなる。
仮設住宅の前を抜けてさらに登ると、真っ暗闇の中にボンヤリと灯りが・・・
7時過ぎに会場へ。天候に恵まれ、朝からブースが賑わう。荷物は本部で無料で預かってもらえて助かった。ダメだったらコンビニから不要なものはすべて送って、必要な荷物だけ詰めてトレランバッグを背負って走るつもりだった。
事務局発表では参加人数はなんと1100人!リーダー役含めて200人ぐらいのサポートスタッフも参加しているようなので、実参加者数は900人ぐらい?第一回目が400人ぐらいだったらしいので、年々、参加者数が増えているようだ。
コースは三つ。中・上級者向けの健脚A(49km、獲得標高722mのアップダウンのあるコースをわりと真面目に走る?)と健脚B(同じコースを少し緩めに走る)は碁石海岸、黒崎温泉を通って半島を巡るコース。坂が多いのでロードやクロスバイク、MTBなどの変速機付きのスポーツバイクじゃないと厳しい。もうひとつのファミリーコース18.5kmは平坦基調のマッタリでママチャリでも走れるらしい。
http://www.tour-de-sanriku.com/information/course.html
コースはジェットコースターみたいに細かいアップダウンが続く。10年ぐらい前までこのコースはロードレースが開催されていた(逆回りで)だけあって、なかなか走り応えのあるコース。
16km辺り、絶景ポイントの碁石海岸で一つ目のエイドステーション。碁石海岸の絶景を見て、トイレに寄って10分ぐらいでリスタート。
二つ目のエイドステーションではお焼き(カボチャやホタテなど数種類あり)と紙パックのジュースをいただく。
かつてのロードレースの際に、ここの大漁旗が応援&観戦ポイントだったとか(この先に勝負所の登りがある)。皆さん止まって記念撮影。
この辺りも、いまは何もありませんが、震災前はおそらく商店や住居がたくさんで活気に溢れた漁港の街だったのでしょう。
奇跡的に晴れた今回のツールド三陸は主催者発表で、なんと1100人参加!三年前の初回が400人ぐらいだったのに比べると三倍近い。後からYahoo!が立ち上げた「ツールド東北」の方が参加者数も3000人と規模が大きく、最長220kmという本格的なコース設定で抽選になるほど人気は高くなっているが、このツールド三陸ならではの地域密着、地元の手作り感いっぱいの良さがあると思う。
ゴール後は美味しい食べ物をあれこれいただく。今年は産業祭りが併催で地元の方も多く参加して盛り上がる。地元広田町のホタテ焼きなどの海産物のほか、佐賀の武雄市の猪丼(114杯限定)など、地元以外の名産、B級グルメもいろいろと楽しめるようになっている。ホクホクとした焼きたてのホタテは大人気。猪丼は臭みもなく美味かった。
午後からはステージイベント。ツール・ド・フランスで三度総合優勝の英雄グレッグレモン氏と友人でハンドバイク元世界チャンピオンのグレッグ・ホッケンスミス氏、J-WAVEなどでもお馴染みのキャスターでトライアスリートの山田玲奈さん、ヒルクライム大好きのモデルとして活躍中の日向涼子さん、チーム右京の選手(名前聞き漏らした)を交えてのトークショーのあと、NHKの撮影で来ている演歌歌手の伍代夏子さんがサプライズゲストとして登場で餅撒き大会。山田さんは渡良瀬大会のボラで過去二度、バイクコース担当のときにコース上でお見かけしました。今年の雨中の大会はけっこう乗れている感じがしていた。英語が堪能なようでレモン氏の横でずっと通訳をこなしていた。日向さんは気持ちのこもったコメントが好感度が高かった。大会の宣伝にも起用され、地元の人にもすっかり馴染みのある存在になっているのだと思う。素晴らしいゲストのメンバーの皆さん。
しばらくしてJRの職員が来たので話しかける。
広報担当であちこちの現場を回っていろいろな人たちの意見を聞いているとのこと。ここで彼と出会ったのは偶然とは思えなかった。ここぞとばかりにいろいろと質問して、陸前高田の都市計画やJRのBRT含む輸送計画など聞かせてもらい勉強になった。
BRT
http://www.jreast.co.jp/railway/train/brt/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/バス・ラピッド・トランジット
そもそも過疎化が進む地域では、維持費用が掛かる鉄道よりもローコストなBRTの方が合理的ではないかと思う。この南三陸でも震災で鉄道が壊滅的打撃を受けてBRTに切り替えたおかげで、便数を大幅に増やすことができたとか。GPSを積んでいるので待合室や専用アプリでバスの運行状況も一目でわかる。電気とのハイブリッドなのでエコである。世界的にも国内の他の地域でもBRT導入の動きがある。鉄道に比べると交通渋滞の影響は受けやすいが、線路を舗装して専用道路化してしまえば、鉄道とたいして変わらない。災害時には自由にルート選択、迂回路をとれるバスの方が便利だと思う。もともとローカル鉄道は一両や二両編成のところが多い。BRTに切り替えて増便した方が使い勝手が良いと思うし、今回は津波で流され、元の線路も使えない。人々の居住域が高台へ移動しつつあるため、そちらにBRTを走らせた方が利便性も高い。車両も低床化され、輪行袋のような大きな荷物を置けるスペースもあるのは電車の代わりだから。普通の路線バスとはもともとの設計思想が違う。彼は学生時代にMTBを改造してロングツーリングを楽しんでいたとかで、自転車の話題でも話が弾んだ。帰り際にBRTの広報資料一式をいただいた。頑張ってPRせねば(笑)
気仙沼まではBRTで30分ぐらい。入口近くに輪行袋を置けるぐらいのスペースはあった。事前にJRの人に確認しておいて良かった。気仙沼に着いたら土砂降り。自走じゃなくて結果的に正解だった?
来年も再来年もまた参加してみたいと思う。復興にはまだ何年も掛かるのだから、応援し続けることが必要。あとから立ち上がったツールド東北の方が距離も最長220kmと長く、参加者数も3000人で抽選と人気、知名度ともに高くなってしまったようだが、ツールド三陸には地元開催ならではのアットホームな手作り感ある。ここでしか味わえない雰囲気がある。自宅からの自走500kmもスケジュールが許せば次回あらためてチャレンジか?
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