逆U字仮説とトレーニング
2012年 12月 15日
もともとは経済学の世界で用いられた古典的な理論ですが、シンプルで分かりやすいのでいろいろなジャンルに応用されています。
縦軸と横軸に別の要素をプロットした場合、逆U字型にピークを表す曲線が出来上がるというもの。
たとえば、スポーツ心理学においては、こんな感じ。
縦軸にパフォーマンス度、横軸にマジメ度=精神的なストレスや緊張を置いた場合、途中まではパフォーマンスが上がるけど、過度にストレスや緊張が高まるとパフォーマンスが下がるという具合。
要は、最高のパフォーマンスを発揮するには、真面目さや努力だけでなダメで、良い意味のでリラクゼーションや効率が求められるということだと思います。
これは、本番はもちろんのこと、練習でも同じだと思います。
日本人はとかく真面目すぎると言われますが、海外のスポーツ選手を見ていると、テンション&リラクゼーション、メリハリがとてもハッキリしている。
根性論、精神論よりも、科学的なトレーニングや目標達成までのメソッドが重視される。
明らかに量よりも質という感じ。
野球のピッチャーなんか、肩=消耗品という考えのもと、投球回数や投球数がきちんと制限されている。
今日買って来た栗村修さん(宇都宮ブリッツェン監督、ツールドフランス等の解説でも有名)の「栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング」でも、「人間は不完全なエンジンだ」として、人それぞれの性格に合ったトレーニングのアプローチが紹介されています。
栗村さんいわく、「フィジカルトレーニングは強化ではない。トレーニングは、目標とする状態に身体を慣れさせる行為だ」と言い切っています。つまり、練習のための練習に明け暮れて練習することが目的化してしまってはダメで、目標とする状態に持っていくために身体を慣れさせるのが目的だと。
強くなりたい、速く走りたい、という焦りの気持ちが、ついオーバートレーニングになり、故障につながる。
栗村さんの本著は示唆に富んだ内容に溢れています。
機会をあらためてまたご紹介したいと思います。
誤った心拍トレーニング、パワートレーニングの話しなんかナルホド!×3ですから。
五輪ランナーの宇佐美さんも、「練習でやり過ぎて故障してたら意味が無い。練習はあくまで練習に過ぎない。ただし、本番では身体が壊れるぐらい出し切れ!」と仰ってました。
「自分は現役時代でもふだんは月200kmぐらいしか走らなかったが、いまどきのアマチュアランナーはやみくもに距離を走り過ぎ。走るのが嫌になり、しばらくランニングの世界から遠ざかっていたが、市民ランナーにもっと正しく効率の良い走り方を教えたくて、指導を始めた。」と。
宇佐美さんはこうも仰ってました。
「まずは本番の距離を身体に覚えさせることが大事。ハーフに出るなら、朝10km、夜10kmで合わせて20kmでも良い、1日の中でトータル20km走れば、その運動強度と距離を身体が記憶してくれて、超回復につながる。」と。
これは栗村さんが書いている「目標とする状態に身体を慣れさせる」のと同じですね。
以前、知人に薦められて読んだ、白戸太郎さんの本にも「無理にやり過ぎない」「身体の声を聞く」「故障は成長のチャンス」「休養はトレーニングのうち」とあります。
ロードのチームの若手エース(ヒルクライムやロードレースの表彰台常連、JCRCのSクラス)も「ローラー台はそのときの調子を見てどの程度やるか決める」という感じで、自分の身体を向き合いながら、臨機応変にトレーニングメニューを変えているようです。やはり、アマでも相応のレベルに達している人間の言葉は説得力ありますね。
決して無理・無茶はしない、でも、目標とするイメージや状態、ゴールが見えているからこそ、柔軟に対処出来る。
栗村さんの本を読んで、宇佐美さんの言葉をふと思い出した次第です。
自分と向き合いながら、ゴールや目標とするイメージに近づけていく・・・
それと、逆U字曲線に話しを戻すと、
・ピークパフォーマンスまで高めるために、徹底して効率を重視すべし(量よりも質)
・効率を高めるためなら、活用出来るもの(メソッドやコーチング、機材等)は積極的に利用すべし
・ピーク前後を維持出来るよう、トレーニングのマネジメント、コンディショニングが大事
というのが、プロのみならず、トレーニング時間の限られたアマチュアにも必要な気がします(僕が勝手に考えました、すみませんw)。
特にパフォーマンスを上げる初期段階においては、やみくもに練習量をこなすのではなく、自分の身体と向き合いながら正しいやり方や自分に合った効率的なフォームを身につけることがとても重要なのではないかと思います。
先月から仕事が忙しくてなかなかトレーニングの時間が取れてませんが、さすがにそろそろリスタートしないとウェイト増量気味でヤバイと思っています(笑)
具体的なゴールイメージを持ちつつ、自分なりに成長を楽しみながら、効率よく進めていこうと思います。
(現状はU字曲線の左の一番下の辺りにも達してないですがw)
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